子どもの権利という言葉が広まっている。2022年にできたこども基本法には「権利の擁護」と明記され、国連NGO子どもの権利条約総合研究所によると、昨年5月時点で約80の自治体が子どもの権利条例を制定している。子どもの権利擁護とはどのようなことなのか。こどもの日に合わせ、00年に全国で初めて子どもの権利条例を作った川崎市で、代表人権オンブズパーソンを務める野村武司さん(64)に聞いた。
――そもそも子どもの権利とは何でしょうか。
子どもを、大人と同じように権利を持つ主体と位置づける考え方です。日本も批准している子どもの権利条約では、子どもにとって最も良いことを第一に考える(最善の利益)や、子どもは自由に意見を述べ大人はそれを考慮する(意見の尊重)、といったことが定められています。
最善の利益、大人と子どもで「ずれ」
――多くの大人は「子どものため」と考えているのでは。
たいていの大人がそう思って…